諸説がある長崎カステラのルーツ
カステラの中でも四角い形状に生地を焼いたタイプのものを「長崎カステラ」と言います。
この「カステラ」という言葉のもとになったのはスペインのカスティーリャ(Castilla)王国とされており、鎖国をしていた江戸時代の初期に長崎から伝わったことで「長崎カステラ」という名称になったとされています。
ただしこの説の他にもカステラの語源について様々な説があり、オランダから宣教師が伝えたときに「パン・デ・カスティーリャ」という「カスティーリャ地方のパン」と呼んでいたことでカステラとなったというふうにも言われています。
いずれにしても長崎カステラというお菓子は原型こそ海外から伝わったものではあるものの、その後日本で独自の進化をとげて日本独自のお菓子と言ってよいほどにまで進化しています。
現在でも長崎県では長崎カステラを地方銘菓として扱っており、おみやげ品の定番として一番の人気があります。
しかしながらカステラはシンプルな卵と砂糖を小麦粉に入れて生地を付けて焼き上げるというお菓子ということもあり、長崎以外の地域でも独自の製法で名物品として販売をしている地域を多く見かけます。
ちなみにカステラが伝わったのは長崎からですが、お菓子として発展したのは江戸と大阪で当時はカステラを焼くための専用の釜が作られることもあったのだそうです。
シンプルだからこと奥が深い長崎カステラの世界
長崎カステラの作り方は、小麦粉に砂糖と卵を入れそれを専用の四角い箱にいれて焼き上げるだけという一見簡単なものです。
しかし実はこの作り方にもさまざまな種類があり、製法によって微妙に味に違いが生じてくるというとても奥が深いものとなっています。
生地づくりは大きく二種類があり、「別立て法」と「共立て法」とに分類できます。
「別立て法」とは卵を卵白と卵黄とに先に分離しておき、先に卵白を7分くらいまで泡立ててから卵黄を加えて砂糖と水飴をまぜ、そこにゆっくりと小麦粉を加えて生地を作っていきます。
「共立て法」は卵をそのまま混ぜ先に砂糖を入れて3分くらいに泡だて、そこに水飴を加えて6分くらいまで泡立てて小麦粉をゆっくり加えていきます。
この「別立て法」と「共立て法」はどちらがよいということはなくそれぞれの菓子店が独自の製法として使用をしています。
ある意味この生地づくりこそがそのお店の美味しさの秘密になっているところなので、有名店のカステラを食べ比べてその味を分析してみるという楽しみがあります。
焼き上げをするときにもかなり難しいコツがあるようで、焼き方が生のままだと焼き上がってから四角い型の中央部分がへこんでしまい商品として出すことができなくなります。
江戸時代に専用のカステラ釜が作られたというのもこの焼き上げの難しさが関係しており、さながらイタリアの本場ピザのような均一な焼き加減が要求されてきます。
こんなにあるカステラの名産地
カステラの名店は全国のいたるところに存在しています。
カステラの名店として最も有名と言ってよいのが長崎にある「福砂屋」です。
「福砂屋」はカステラの名店として有名なお店なのですが、最近では女性にも人気の小さいサイズのカステラ「Fukusaya Cube」という可愛いパッケージの商品を販売しています。
他にもカステラで有名なお店としては、東京都の「上野風月堂」や京都の「三源庵」といったお店があります。
「上野風月堂」のカステラはちょっと変わった見た目のカステラで、ぱっと見るとパウンドケーキのようなふっくらしたタイプになっています。
京都の「三源庵」のカステラは1本の価格が2000円を超えるというかなり高価なものなのですが、卵を豊富に使ってツヤのある黄色い色が大きな特徴になっています。
ちなみに安いカステラと高いカステラの違いは生地における卵の比率で、鶏卵が特産地である地域では卵の風味をそのまま活かしたカステラの名店がよく存在しています。