おはぎとぼたもちの違いがわかりますか?
スイーツ好きにとっての常識の一つとなっているのが「おはぎ」と「ぼたもち」の違いはどこにあるかということです。
これはどちらもお餅を餡で包んだものですが、中身が餅になっているかもち米のままになっているかや、使う餡の種類によって異なるといった誤解をされていることがよくあります。
結論から言うと、おはぎとぼたもちは全く同じものであり、食べる時期によって名前が変わるというだけのものにすぎません。
おはぎやぼたもちが最も多く食べられるのはお彼岸の時期ですが、このとき春の彼岸に出されるものが「ぼたもち」、秋の彼岸に出されるものを「おはぎ」といいます。
語源となっているのは春の花である「牡丹」と、秋の花である「萩」という2つの季節花であるとされています。
春と秋のどちらがおはぎでどちらがぼたもちかわからなくなったときにはこの花の名前を思い浮かべるとよいかもしれません。
最初におはぎとぼたもちは全く同じと書きましたが、地域によっては中身を変えて出すようにしているところもあるようです。
つぶあんとこしあんを変えてお供え物にするところもあると言うので、そのあたりはローカルルールに従って取り扱うようにするのがよいと思います。
なぜお彼岸になるとおはぎ・ぼたもちを食べるのか
伝統的な和菓子のおはぎやぼたもちですが、大福や饅頭のように食べやすいように餡を包まずわざわざ手が汚れる表に出しているのはなぜかということが気になります。
これはもともとおはぎやぼたもちが純粋なお菓子としてではなく、お供え物として作られていたということが関係しています。
おはぎやぼたもちが出されるお彼岸は仏教行事の一つであり、それぞれ春は3月秋は9月の春分・秋分の日を挟んだ前後3日を含んだ一週間をそう呼んでいます。
お彼岸にはお供え物をするとともにお仏壇や仏具、墓石をキレイにするという習慣もあるのですがこれは「神道」という神様が通る道が昼夜の時間が同じになる彼岸の頃には開くというふうな民間信仰からきているものです。
お彼岸の頃におはぎやぼたもちを備えるのは、まず餡の材料になる小豆は赤い色から魔除けとして使用をされてきたということに由来します。
小豆は赤飯にも使用されるお祝いやその他の儀式に多く使用される伝統のある食材です。
お彼岸の頃は宗教的な意味の他に、季節の変わり目でもあることから五穀を捧げることで豊作を願ったとされています。
わざわざ餡を表にしているのはそうした小豆を捧げ物にしたいという意図からきているのでしょう。
餡以外のおはぎやぼたもちもあります
おはぎやぼたもちというともち米にこしあんやつぶあんたっぷり塗ったものという感じがありますが、他にもきな粉やゴマをつかったものを見かけます。
先ほど小豆を使ったおはぎやぼたもちは魔除けと五穀豊穣を願う意図があると書きましたが、きな粉やゴマをつかったものも別の意味があります。
これは鎌倉時代に日蓮宗の宗祖である日蓮が処刑されそうになったときに、そのことを聞いた尼僧が亡くなったあとの供養を考えておはぎ・ぼたもちを作ろうとしたということが由来になっています。
急に処刑の話を聞いた尼僧は小豆を煮て餡を作る時間がなかったため、きな粉とゴマをつかったものにしたということです。
結局日蓮はこの時処刑されず佐渡に流されるということになったことから、きな粉やごまをつかったおはぎ・ぼたもちは「難逃れ」という意味で使用されるようになっています。