手軽に食べられるおやつとして不動の人気を誇るクリームパン。スーパーやコンビニなどでも手に入るほか、クリームパンづくりに力を入れているパン専門店もあって、あんパンやジャムパンに並ぶ3大菓子パンのひとつです。
昔ながらのスイーツとして、どこか懐かしさを感じる方も多いのではないでしょうか。
実はこのクリームパン、洋風な味や見た目ながら、日本生まれというのを知っていましたか？
ここでは、日本人が大好きなクリームパンの歴史を紐解きながら、作り方や美味しく食べるコツを解説していきます。
クリームパンとは
クリームパンとは、ほんのり甘いパン生地にカスタードクリームが入った、洋風の菓子パンです。カスタードクリームのほかにも、生クリームやチョコクリームなどを入れる場合もあり、お店によってクリームの味はさまざま。
クリームの固さもそれぞれで、お店や製パンメーカーによってバリエーションが豊富です。
グローブのような独特な形がスタンダードですが、丸や四角、可愛い動物をモチーフにしたパンなどもあり、全国に多くのクリームパンが存在します。
クリームパンの歴史
クリームパンが誕生したのは、1904（明治37）年。洋食店の老舗で知られる「新宿・中村屋」が発祥と言われています。
創業者である中村屋のご夫妻が、初めて食べたシュークリームの味に感動。その味を、あんを入れたあんパンのように、何とかパンで再現できないかと考えられたのがきっかけです。
当時、乳製品を使ったクリームは栄養価の高い食べ物として重宝されており、「子どもたちに栄養のあるものを食べさせたい」というご夫婦の思いから生まれました。
発明当時、クリームパンは柏餅のような楕円形をしていて、現在のような独特の切れ目も入っていませんでした。
なぜ今のようなグローブの形になったのか、詳しくは分かっていませんが、中に空洞ができてしまわないよう、空気を抜くために生地に切れ目を入れたのがはじまりとされています。
今では、割って中をのぞかなくても、誰もが見ただけで「クリームパン」と分かる独特の形となって親しまれています。
クリームパンの醍醐味
クリームパンの醍醐味と言えば、やはりカスタードクリームです。パン屋さんによっては、卵や牛乳、小麦粉などの素材にこだわったり、お菓子の専門家であるパティシエにカスタードクリームを依頼したりする店舗もあります。
中にはバニラビーンズや砂糖など、香りや甘さの決めてとなる材料にこだわっているパン屋さんもあるので、食べ比べてみるのも楽しみ方のひとつです。
クリームパンの作り方
まず、カスタードクリームを作ります。
鍋に牛乳とバニラビーンズ、バニラビーンズの「さや」を入れて沸騰させます。別のボウルで卵黄にグラニュー糖を加え、白っぽくなるまでかき混ぜます。それに薄力粉を加え、バニラビーンズを入れた牛乳を少しずつ加えながら混ぜていきます。
こし器でこしながら鍋に戻し、強めの中火にかけて、焦げないようにゴムベラで混ぜながら加熱します。中心から沸騰し、粘りのある重いクリームが軽くなり、さらっとした状態に変わったら火を止めてバターを加えます。
ボウルに移し、表面をラップしたボウルに氷水を入れたものを上下に重ねて、急速に冷やしたらカスタードクリームの完成です。
めん棒で楕円形にして伸ばしたパン生地の真ん中にクリームを載せたら、餃子のように2つ折りにして周りをしっかり閉じましょう。
ヘラやドレッジで3か所切れ込みを入れると、グローブ状に成形されます。
生地をオーブンの天板に並べ、発酵機能などを使って40〜50分発酵します。
その後、パンの表面に卵黄を溶いた液をハケで塗り、190度のオーブン12～13分程度焼いたら出来上がりです。
クリームパンをさらに美味しく食べる！
ここでは、クリームパンがより美味しくなる、ひと手間かける食べ方について解説していきます。
誰でも簡単にできる方法ばかりですので、ぜひ自宅で試してみてください。
電子レンジであたためる
電子レンジで少しだけあたためると、中のクリームが温かくなり、味がより濃厚に感じられて美味しさが増します。水分が飛ばないよう、クリームパンを軽くラップで包んで加熱しましょう。
500Wで20～30秒あたためるのがちょうど良い加減です。
トースターで焼く
クリームパンをトースターやオーブンで焼く方法もおすすめです。パン生地がカリっと香ばしくなり、クリームのやわらかさをいっそう感じられて、美味しくなります。
余熱で温めたトースターにクリームパンを入れて、表面に焼き色がつくまで焼けたら取り出します。ただし、トースターであたためる方法は、外側だけが焼けて中のクリームが温まらないことも多いので、先にレンジで中のクリームを温めてから焼くのが美味しく仕上がるポイントです。少し手間はかかりますが、試してみる価値はありますよ。
冷凍する
夏の暑いシーズンにおすすめなのが、クリームパンをそのまま凍らせる食べ方です。保存もきくので、今は食べられない時や大量にいただいた際などにもおすすめ。クリームを凍らせると甘みが抑えられて、何個でもいけちゃいそうになりますよ。
作り方はとっても簡単。クリームパン1個ずつにラップを巻いて、半日以上凍らせるだけです。
薄皮タイプのクリームパンが相性バツグンなので、薄皮クリームパンが手に入ったらぜひ試してみてください。
フレンチトースト風にアレンジする
卵に砂糖と牛乳を入れたフレンチトーストの卵液に、クリームパンを5分ほど浸して焼く方法です。
フライパンにバターを入れ、浸けたクリームパンを入れて表面を焼きます。
フレンチトーストの焼き加減は好みによりますが、しっかりと両面を焼くほど外側がカリっとなって美味しいです。
ただし、卵液に浸しすぎると中のクリームが出てきてしまうこともあるので、パン生地の状態をみながら調整しましょう。
飲み物にこだわる
一緒に味わう飲み物にこだわるのも通好みの食べ方のひとつです。特にコーヒーや紅茶など、砂糖を入れずにブラックやストレートで飲むと相性が良く、クリームの味わいやパン生地の味もしっかりと感じられます。ミルクティーやカフェオレなど、ミルク味の飲み物との相性もバツグンです。
ただし、飲み物が甘いとクリームの甘みを感じにくくなってしまいます。飲み物を合わせるときは、まずは無糖から試してみると良いでしょう。
クリームパンの名店リスト
全国の数あるクリームパンの中でもとくに「お取り寄せしてでも食べたい！」と人気のクリームパンについて、特徴や入手できる場所、をまとめました。
【広島県】八天堂
広島県三原市にあるスイーツパン専門店「八天堂」は、昭和8年創業の和菓子屋さんからはじまった歴史あるパン屋さん。
話題となっているクリームパンは、ドイツへパン修行に行った3代目が2008年に開発した商品で、全国的にも有名になってきています。
誰にでも食べやすい、とろけるような食感が最大の特徴で、パン生地を感じさせないほど柔らかく、飽きの来ない味わいを楽しめます。スタンダードなカスタードクリーム以外にも、小倉味や抹茶味などの種類あり。定番メニューのほか、季節限定や地域限定のメニューなども用意されていて、毎日通いたくなるほどの絶品です。
関東中部、関西、九州に複数の実店舗を構えており、駅ビル内やショッピングモール内などで手に入ります。楽天市場などのネット通販でも入手可能です。
【岡山県】清水屋
昭和34年創業の老舗パン屋さん「清水屋」が開発した、柔らかな生地と生クリームがまるでスイーツのようなクリームパンです。クリームはスタンダードなカスタードクリームのほか、苺クリームや抹茶クリーム、チョコクリーム、チーズクリーム味があり、それぞれ違った味わいを楽しめます。クリームパンの他にも、サクッとした食感を味わえる「生クリームクロワッサン」も人気。
お取り寄せは公式サイトやYahoo！ショッピング、楽天市場から入手できます。
【愛知県】サンクレール
バニラビーンズがたっぷり入ったカスタードクリームが、ぎっしり詰まったサンクレールの「ごちそうクリームパン」。柔らかいふわふわの生地と、とろけるカスタードクリームとの相性が抜群です。国産の高級はちみつやバター、ブランド卵など、材料へのこだわりが強く、クリームパン愛がひしひしと感じられます。公式通販ショップや楽天市場からのお取り寄せが可能です。
【大阪府】九十九堂本舗
大阪の牧方市にあるクリームパン専門店「九十九堂本舗（つくもどうほんぽ）」のクリームパンです。
外側のパン生地はふんわり、中のクリームはカスタードと生クリームのブレンドで、ちょっと固めの食べごたえのあるパンとなっています。
お取り寄せでは、クリームパンと並ぶ人気商品「ツクモのあんぱん」との食べ比べセットが人気。要冷蔵のため冷たい状態で届きます。実店舗は行列ができるほどの人気店なので、ゆっくり味わいたい方は、ぜひ公式ブランドサイトや楽天市場内のサイトから取り寄せてみてください。
【岩手県】ブーランジェリー レ・ド・シェーブル
岩手県代表のクリームパンは、人気テレビ番組でも紹介された「ヤギミルクのクリームパン」。その名の通り、ヤギのミルクがふんだんに使われたカスタードクリームが入っています。
昔ながらの素朴な見た目のパンながら、濃厚なカスタードクリームが人気。ヤギミルク特有の臭みもまったくなく、トンカビーンズの香りが広がる贅沢なパンです。
ゆるかわなヤギのパッケージもインパクト大。ちょっとした手土産やギフトにも喜ばれるでしょう。公式通販サイトや楽天市場から取り寄せられます。
手軽なスイーツとして親しまれるクリームパンですが、見た目や味はさまざまで、実に多くのバリエーションがあります。
もしかすると、あなたの近くのパン屋さんでも、これまで食べたことのない新たなクリームパンが生まれているかもしれません。街のベーカリーへ立ち寄った際には、ぜひクリームパンを食べて味を比べてみてください。